#COLUMN2023年スペシャルオリンピックス夏季世界大会・ベルリン日本選手団・団長 平岡 拓晃インタビュー

  • 2023.04.03
image photo

平岡拓晃氏 プロフィール
■スペシャルオリンピックス日本理事長。柔道家。高校3年生でインターハイ60キロ級優勝。 以来、2008年アジア柔道選手権、2010年グランドスラムで金メダルを 獲得するなど、数々の国際大会で素晴らしい成績を収める。2008年の北京五輪、2012年のロンドン五輪に出場し、ロンドン五輪で銀メダルを獲得。

01.スペシャルオリンピックスとの最初の出会い

スペシャルオリンピックス(SO)との出会いは、前理事長の有森裕子さんとお会いしたとき、「スペシャルオリンピックスに関わってます」という話をお聞きし、その時に「一度遊びに来て」って声かけてもらってからですね。お声掛けしていただいてからスグにSO活動にお伺いしたんですが、最初は大会ではなく、講道館で知的障害のある柔道の日本アスリートととヨーロッパの知的障害のあるアスリートが交流会をするということで、私も一緒に参加させてもらったことがスペシャルオリンピックスの最初の出会いになります。

02.スペシャルオリンピックス夏季世界大会・ベルリンの団長に任命されて

「私が初めて行った海外の国がドイツだったので、すごく運命的なものも感じます。」

団長に任命されて一番最初に嬉しいという気持ちがありました。その後にすぐに責任感、そういう気持ちが自分の中で出てきて、団長としてどうしなきゃいけないのかなっていう思考になっていきました。私が初めて行った海外の国がドイツだったので、すごく運命的なものも感じます。僕の柔道キャリアにおいて、ものすごく大きな分岐点になったのが、やっぱり初めてのドイツで行われた国際大会だったし、その後の他の国際大会にも繋がりました。本当に自分のキャリアで大きな経験になったんですよ。

03.今回の日本選手団の合宿を通じて感じたこと

「コーチたちは、楽しみながら上手にアスリート、パートナーたちのパフォーマンスを発揮できるようなチームの雰囲気作りをしてくれているように思います。」

いくつかの競技を見させてもらったんですけど、今回が合宿1回目(2023年1月7~9日実施)ということもあってなのか、強度を上げていくっていうよりはアスリート、パートナーたちが全国から合宿地に移動してきて、初めて競技できるっていう、いわばその練習でもありました。選手団として宿泊するための経験があったり、その選手団たちの状況をコーチたちが把握するための1回目の場なんだなっていうのを改めて感じました。チーム内でのコミュニケーションをとることに少し専念させようとしているコーチの手腕というか、やり方っていうのをすごく感じましたし、コーチの方も世界大会に慣れているアスリート、パートナーがいたら、彼らから学びながら後を追っている若手のコーチもいます。今回の合宿で、コーチみんな、選手団が一致団結できる雰囲気を作る意味でも参加しています。

そういった意味では、楽しみながら上手にアスリート、パートナーたちのパフォーマンスを発揮できるようなチーム雰囲気作りをしてくれているように思います。

04.日本選手団のスローガン「PRIDE」について

「アスリートだけじゃなくて、パートナー、そこに関わるコーチ、そして我々も誇りを持ってドイツに向けてやっていきたいなっていう考えがあったので、そこから「PRIDE」(プライド)というスローガンにさせてもらいました。」

スローガンについては、柔道選手時代の自分がどうだったかなってことを考えてみたとき、自分の中にあるものっていうのはやっぱり「誇り」だったんですね。自分がその競技を続けている誇りであったり、日本代表として日の丸をつけて戦うそのプライドが心の中にあったなってことを考えて。もちろん、日本を背負って戦いに行くわけなんですけど、勝ち負け以上の経験をたくさんもらったんだなっていうものを私はすごく感じたんですね。

もちろん勝つために努力をするのも大事なんですが、そこから得られる経験値っていうものを「誇り」として持ちながら感じて欲しいなっていうことを思って。アスリートだけじゃなくて、パートナー、そこに関わるコーチ、そして団長、副団長、メディカルチームである我々も誇りを持ってドイツに向けてやっていきたいなっていう考えがあったので、「PRIDE」(プライド)というスローガンにさせてもらいました。
プライドってちょっと「プライドが高い」とかっていうような、ネガティブなイメージも持たれるかと思うんですけど、そうではなくて、やっぱりアスリート、パートナーとしてのプライドっていうものってものが、すごく自分を高めてくれる言葉でもあるかなと思うんです。プライドという言葉と、そして日本と日本人としての誇り、この両方をしっかり積み重ねていって欲しいとに思っています。

05.団長として想い描く日本選手団とは

「大事にしてほしいのは、自分がなぜその場に立てているのか、
周りの人たちのどういう思いで立ってるのかっていうことを感じながら頑張ってほしい。」

やはり日本選手団っていうことで、すごくハードルが上がってしまうような、それだけでもすごい誇りを感じてもらえるフレーズだと思うんです。けれども、そこだけじゃなくて、日の丸をつけていくということに対して、そして海外に乗り込んでいくっていう意味で感じてほしいこと、それにはいろいろな人の支えがあって、自分がその機会やその場に立ってるんだっていうことを、みんなが感じてほしいと思ってます。どうしても競技に一生懸命なりすぎてしまうと、そういう思いが薄れてしまいがちなんですが、誇りを持ってそこに向かっていく、大会が1つ終わった後でも、それって後から湧き上がって思い出されてくる感情でもあるかなと思うんです。なので、今はこう思ってほしいっていうようなそういう言葉じゃなくて、これから積み重ねていく、自分の誇りを作っていきながら、でも大事にしてほしいのは、「自分がなぜその場に立てているのか」、周りの人たちのどういう思いで自分が立ってるのかっていうことを感じながら頑張ってほしい。日本選手団としての行動を誇りに持って全うして欲しいと思います。

06.オリンピックの経験を持つ平岡団長から選手団へのメッセージ

「自分の言葉で<自分のプライド>が語れるような大会になればなと思います。」

スポーツをやってると、結果っていうものが出てきてしまうんですね。もちろん勝ったときとかの思い出ってやはりいい思い出になってしまうんですけども、負けたときの思い出っていうのは最初は嫌だなとかって思ってしまいがちなんです。でも、実は負けてから、結果と向き合うことの経験の方がものすごくスポーツの価値があるものだよっていうことを伝えたいなと思っています。だから、そこをアスリート、パートナーたちにはスポーツ自体と向き合い、その結果に対しても真摯に受け止めて勝っていくんだっていう姿勢を示して欲しいと思います。
アスリート、パートナー一人一人の持つオリジナルのプライドというか、誇りというものを作っていってほしいですね。最後には自分の言葉にして発信していってほしいかな。
自分の言葉で「自分のプライド」が語れるような大会になればなと思います。

コラムトップへ戻る